the counter pop’s blog

ロックバンド ザ・カウンター・ポップのブログです!

62. 「蒲田青春狂騒曲 最終回」




Sep10 pm5:21



Theme Song 「青春の挫折」 / The counter pop
 http://www.mucom.net/thecounterpop/sound2/seisyunnozasetu.ram
           ※再生にはreal player が必要です


 「おめでとう ケンジ
ウェールカムゥ
歓迎するよ・・・
良く此処まで
たどり着いたじゃあないか・・・
さぁ タカシ 
銃を下ろさせなさい」


なんだよ!! 
訳わかんねーよ
タカシ? 
なんでこのデスラー野郎がお前に
そんな事言うんだ?
一体 どうなってんだよ?


「GAMEOVERだよ ケンジ・・・
それで アウトライフは
如何だったかね?
とってもリアルで 
楽しめただろう ん?」


「 ??? 」


・・・コイツ何言ってんだ?
デスラーが続ける


「なんだね そんな不思議そうな顔をして 
ハハハッ・・・そうか
まだわからんのかね? 
君も意外に鈍感なんだなぁ 
ワハハハ
・・・まぁ無理もない 
私の勝ちと言ったところかな
ククッ・・・
君はいまOUTLIFEの中に
居るのだよ
・・・わかるか? 
いま君はこうして
私の作ったゲームの中に
居るのだ・・・!!


・・・タカシも トモミも サトミも 
私の作ったゲームの中の
サブキャラクターに過ぎん・・・
そして ケンジ 
お前自身もな!!」


なんなんだ?
ゲームの中って・・・


???
じゃあ俺は誰だ? 
誰なんだ?
・・・そうかこれは罠だ
コイツの嘘だ!!
騙されるな!!
・・・タカシ? どうなんだ? 
コイツの言ってる事は
どうなんだ?
何とか言ってくれ!!


「まあいい どちらにしても
間もなくゲームーは終わる・・・


さぁ このINLIFEを飲みなさい!!


さぁ!!
一度現実に戻って
何度でも
ゲームに戻って来れば
やかろう! ん?


・・・で次はどうする?
次は?
さぁて 誰になる?
何キャラでいこうか?
・・・取り敢えずもう一度
10代に戻って
たっぷりと悪事を楽しむ何てのはどうだ?
万引き 窃盗 強姦・・・ 
何でもヤリ放題 
どうだね?
ワクワクするだろう?

 
ん?・・・そうか・・・
そうだな・・・
ふん 詰まらん
確かに詰まらんよ
所詮 ガキの戯れだな・・・
・・・じゃあ こんなのはどうだ?
巨大爆弾を作って 
蒲田駅前を木っ端微塵!!
・・・いや いや 構わんよ
ゲームの中の話じゃないか・・・
腕が飛ぶゥっ
足が飛ぶゥっ
バラバラに飛び散った 
子供らからお年寄り
血で染まるアスファルトに・・・
どうだ?
血はどうだ?
血は見たいんだろ?
ワハハハ・・・
・・あっ スマンっスマンっ
いい事だってできるぞ!!
体を鍛えてぇ 正義の味方ぁー!
"冴えないサラリーマンが
 京浜東北線内で痴漢を撃退!!"
『ありがとぅございまぁすぅ!!』なんて
女子高生にウットリと
潤んだ瞳で見つめられて・・・
車内からは感動の拍手の嵐!!
『いやぁかまいませんよ・・・
ハハ・・・当然の事をしたまでです』なんて・・・
『それじゃ気が済みませんので』!!
女子校生だ!!
お礼にこんな事して
あんな事して
こんな格好も
あんなのまで入れて
あっあーっ!!
ハハハどうだ?
悪くないだろ?
・・・まあいい
今回の事で言えば
トモミの周りを探って行けば
もっと楽しめたのだよ・・・
次回はそうだな 
トモミとも付き合ってみたらどうだ?
トモミのママも
いい女を用意してあるぞ
親子丼ぶりなんてのも
いいねぇ
2人をこう並べちゃって?
ねぇ? こんなして・・・


それとも 
サトミが犯れてるところへ
ちょうど迎えに来た
お前がかち合っちゃって
目撃しちゃう
「・・・そっ そんな・・・何て事だ・・・」
なんてもの
ハラハラッドキドキッ
できるかもな・・・
ハハハハ・・・
ついでにもう 
しょうがないから
自分も輪姦に参加しちゃう
「お願いします!自分で7人目でーす!!」
なんて 
そんなんも
いいかもしれない
ガハハハハ・・・」


「うるせぇーぞ 黙れ!!
この下衆野朗がぁー!!」


俺の銃が火を噴く・・・


「やめろ!! ケンジ 
そいつはトラップだ!!」




なにもかにもが
スローモーションの
ように見える・・・
隣りでタカシが
俺の腕を掴んで
叫んでいる・・・
社長の眉間に
小さな黒い点が現れ
開け放たれた
水道の蛇口みたいに
音もなく鮮血が吹き出し
呆気なく机の上に倒れ込む・・・
俺は銃を撃った余韻の中で
案外 冷静でいた
なぜ銃があんなに
大きな音を立てて
発射されるのかというと
その後に続く余韻の中で
それを使ってしまった
罪悪感を十分に
感じられるように・・・
だぁなんて
何処かで
聞いたことがある
余韻を楽しむだなんて
案外 日本的だなぁ
なんて思う


目の前が歪んだ
左右の眼球が大きく波打つように
目の前がバラバラに見える


・・・タカシ?何処だ?
どうなってる・・・?


「タカシ!! なんか変だぜ
足元までグラグラする!!」


俺はタカシを呼んだ


タカシか・・・?
タカシの周りが光ってる
まるでダイヤモンドダストみたいだ・・・
細かい細かい光の粒子に包まれて
タカシの輪郭がキラキラキラキラと・・・
そしてそれは投げ出された
パズルのピースみたいに
崩れてゆく・・・


「・・・ケンジ お別れだよ
楽しかった・・・ 
また会おう・・・
俺・・俺はいつでも
ゲームの中で待・・・待機中 
なんちって!!
"蒲田青春狂騒曲"だぜ!!
ロットナンバー 110721
イチイチゼロナナニイイチ
イオナニイ 
イオナニイだよ(笑)
テーマソングは
青春の挫折/the counterpop』
挿入歌として
『愛の泉』もいいよね!!
さようなら 
ケンジ・・・ィッ・・・」


プチッ・・・


 --暗転--


時間も空間も無い
存るという存在すら無い
そして ただ 俺自身 
電池の切れた
ロボットみたいに
次に誰かが
俺というスイッチを
入れてくれるのを
ただ渇望するだけになった




am8:15
邦東医大 特別病棟 
朝の回診・・・


リノリウムの冷たい床を
白衣をまとった行列が過ぎる


患者達が生への執着を込めた瞳で
その行列を追う


「・・・あぁ 山下君
例のあの患者
健二くんと言ったかなぁ
御巣鷹の飛行機事故の
3人目の生存者で・・・」


「・・・はい教授 
彼が17歳で
ここに運ばれてますから
今年で37歳になります
脳波 脈 体の機能 
ともにすべて正常です
後は意識の回復を
待つだけなのですが・・・」


「・・・それで どうだね
新薬 OUTLIFEのほうは・・・」


「・・・はい・・・
脳波に今までになかった動きが
確認されています
・・・教授 今後どのようになされますか?
ご指示を・・・
・・・OUTLIFEの投与を続けますか?」


「・・・うむ・・・ このまま 
もう少し投与を続け
様子を見るとしよう・・・ 
・・・仮に・・・いや 仮ではなく・・・
私は断じて信じておるのじゃよ・・・
・・・彼の意識が戻った時に
これは社会復帰の為の良い
経験に
なっているハズじゃと・・・」




              <完>


Ending Theme 「Metal Construction」 / The counter pop
http://www.mucom.net/thecounterpop/sound2/metalconstruction.ram


    このストーリーを偉大なる先人達に捧げます


チャールズ・ブコウスキー  エルモア・レナード  池田満寿夫
「路上」のジャック・ケルアック  映画「ブレイン・ストーム」  カナダのフィルム作家
デビッド・クローネンバーグ と彼の作品「ビデオ・ドローム」 そして「クラッシュ」
ブレード・ランナー」は誰だっけ? 原作の「電気羊は・・・」 ってやつ
それから ヘミングウェイの「エデンの園」  フォークナーの「8月の光」
ヘンリー・ミラー に 三島由紀夫  などなど


すべてのフェイバリッツよ永遠に!!




あとがきにかえて・・・


このストーリーは仏教のベーシックとなる1つの考え方 唯象論
を基に作りました
色即是空 一切ハ空ナリ  そんなヤツです


旅というのはおかしなもので 長くなれば長くなるほどに
今度は戻った時の現実の世界の方が
旅の様に感じられてしまう・・・そんな事ありま専科?


ケンジのリアリティ・・・
OUTLIFEが効いている時  ゼカの社長による告白
病院内での健二・・・幾つもの次元の現実が
ケンジの自我の内で 剥いた玉葱 まさに
それは曼陀羅のように 展開してゆきます


我々も今 OUTLIFEの中に 居るのかもしれませんね




          では・・・




Theme Song 「青春の挫折」 / The counter pop
 http://www.mucom.net/thecounterpop/sound2/seisyunnozasetu.ram


Ending Theme 「Metal Construction」 / The counter pop
 http://www.mucom.net/thecounterpop/sound2/metalconstruction.ram




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BY ROCKER’S DELIGHT 9月号より
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