the counter pop’s blog

ロックバンド ザ・カウンター・ポップのブログです!

585.『祝発売20周年「愛の泉」。PART2 特別編!』

■祝発売20周年!
『愛の泉1998 / THE COUNTER POP』
www.youtube.com




 この曲、「愛の泉」。2018年で発売20周年
ってことは、1998年の発売でしょ?
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 今日は先週に続いて当時の
ことを少しづつ思い出してみたいと思います。
 早速、振り返ると、この曲、
イントロが ビートルズの 「I've Got A Feeling」 と
レニー・クラヴィッツの2ndアルバム 1991年 からの
「Always ON The Run」を足した感じで
作っているんだよねー(笑)って
そもそもレニーのこの曲がツェッペリン
そっくりだしねぇ


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 そう考えると
レニーのこの曲が1991年ってことはさぁ
それが俺たちの曲に形を変えて発売されるまで
7年かかったってことだね
 すごいもんだねぇ


 そもそもはさぁ、日本のMODSバンドで大好きな
The Collectors のライヴで
「世界を止めて」の初演を聴いてて、その時に
ヴォーカルの加藤さんが、歌ったすぐ後か前で、
「なんだか歌謡曲みたいなんだけど…」
って恥ずかしそうにエクスキューズしてね



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 この歌知ってる人もいると思うけどさぁ
おそらく、これ、尾崎紀世彦の「また逢う日まで
を意識して作られてるでしょ?



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 俺的には、それまでにも昭和歌謡
筒美京平の下地があったんで、この
コレクターズの『世界を止めて』も
それほどショックも違和感もなく
すんなり頭に入ってきたんだけども


 何しろ当時はさぁ、小室サウンドの時代だからさぁ
縦ノリ、4つ打ちのキック、全盛でしょ?
それはそれでいい感じなんだけども
60年代指向の俺にしてみたら
ドラムの音なんてほんとうに酷い音でさぁ
なんでこういう音が幅を利かせてるんだろう?
って本当にわからなかったし、嫌だったね
 本当に、その頃のレコードなんて全くドラムが
ドラムの音をしてなかったんだよ


 さっきも言ったけど、元々、レイト60's志向で始めた
バンドで、メンバーともにそういう
方向でやってて ピンとくるかどうか
解んないけども
The Whoとか、さぁ クリーム、
ジミ・ヘンみたいなサウンドを復活させたくてね


 そういうのと違う感じの
当時の音像っていうの?
有名な曲だと The Power Station
「Some Like It Hot」とか?(笑) 
解るかなぁ?
スネアの部分がスゴい音してるでしょ?
まぁ、今聞くとこれはこれで
イケてる感じもするけどね(笑)


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 それでも、これは少し前の音で
80年代の代表曲なんだけど
90年代過ぎても、日本のバンドとか
製作側も、まだその音を引きずってて
っていうか、全く判ってないっていうか、兎にも角にも
ダサーい!! って感じでだったね


 そこえ、レニー・クラヴィッツが60年代のリバイバリストとして
出てきてね 彼も今でこそビッグネームだしそろそろ
もう賞味期限も近いか過ぎちゃってるって感じだけどさぁ
 レニーっていえば、1stアルバムを俺が買ったのは
TVKの全米ヒットチャートのまだ76位とかそれくらいの頃で
ほんの一瞬だけ映ったビデオにグッときて
そのまま翌日川崎のタワーレコードに走った
 綴りが奇妙でさぁ、インターネットなんてもちろんないから
記憶を頼りに何とか探し出して
一枚だけ置いてあるのを
買ってきたんだよなぁ


 とはいっても、メジャーシーンでも、
その前の80年代にもサイケデリア・リバイバル
っていうのはあって 勿論レニーもそこから
スタートしてたんだろうけど
パープルレインで当てたプリンスがそのすぐ後に
「Around World In A Day」ってアルバムを出したり
L・Aのガレージ・ガールス・バンドの
バングルズが「マニック・マンデー」で
当ててたりとかもね、まぁこの歌も
プリンスの歌なんだけどね



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 ただ、やっぱり これらは
あくまでも80年代の音での話で
サイケ・サウンドって言ってもさぁ
もちろんコード進行も響きも含めてね
 ボブ・マーレージョン・レノンのハイブリット
として、レニー・クラヴィッツが登場するまでは
まだ、あの乾いた感じにはなって
無かったんだよね


 まあ、話を戻すと
俺の中だと レニーとツェッペリン
ビートルズを足した感じのイントロで
レゲエっぽいベースの歌い出しに、当時嵌ってた
スティーヴィー・ワンダーのインナー・ヴィジョンから
too highのノリと甘茶ソウルでおなじみ
ソウル・ジェネレーションのソウル感を足して
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歪んだギターで締める。みたいなね。
そんな計画だった


 で、そんなイメージで作って これをあちこちに送ってね
レコード会社に
 それまでもいろいろ送ってたんだけど
まあ手応えがあったり、無かったり
なぜか音楽スクールに誘われたり とか
イベントに参加しませんか とかそれくらいの
そういう感じ?


 ただ、この曲はちょっと違ってて
何社かからすぐに呼び出しがかかってさぁ
直ぐにいくつか面談に行った


 まずは当時246号を入って直ぐのところにあった
ワーナーのビルでの面接、の後で
SFC音楽出版の高護(こうまもる)さんが
待っててくれて、レコードにしませんか?
って声をかけてくれた 


 この時 高さんのところでは
「Tokyo tremoro Show Case」っていう
当時の東京のガレージ・サウンドを集めた
コンピ・アルバムを作ってた最中らしくて
そこに俺らのこの曲も入れてさせてよって
そういう話だったのかなぁ


 この高さんっていう人が 面白い人で
元々 八百屋さん、だっていってたかあなぁ
なにかのきっかけでレーベルを始めたらしくて
このコンピもインデイー盤だったんだけど
俺たちは別名で、このコンピように
これともう一曲インスト局を提供したら
ポンって10万円くれてねぇ
ありがたかったね、金なかったから
 その後あちこちのレコード屋
発売されたこれを見かけて、妙に感心したりしてね
 高さんのところって
俺たちのインディーロックとは別に
確か日本レゲエの創成期のMajor Forthってレーベルも
持ってて TAXIーHIFIの
CHAPPIEとか HASE-Tとか 高木完とか
のレコードも出してたんだよね


 まあそういうのがあったころに並行して
荒井由実でおなじみ アルファ・レーベル
(今はもう無い)の若手ディレクター 
八木良太さんが同様に連絡をくれてて
会いに行った


 当時外苑東通りの広尾の先の
ちょっと入ったところにあった会社で
会議室に通されたらさぁ ちょうど何か
他の会議をやってたすぐ後だったらしくて
まだ6〜7人の関係者みたいな、クリエーター(笑)みたいな
怪しい感じの人らが残ってて
その時、俺は確か手ブラで行ったのかな
忘れちゃったけど


 別の会議の流れのまま そこに座らされて
いろいろ聞かれたんだけど
「これ(デモ・テープ)って、何で録ってんの?」とか
「普段どんなの聴いてんの?」とか
そんな感じだったのかな
そんなやり取りがあって
 俺が 25,6歳、で 周りは40代だったのかなあ


 「488ってTASCAMのカセットMTRですよ」
って言ったら
先にそんな話をみんなでしてたみたいで
「ほら!そうでしょ?最近のカセットMTR
 良く録れるんだってー!」
とかって誰かが言ったりとか
そんな感じだったのを覚えてる


 その時にすぐに
「これを、メジャーで流通させようよ
って提案があって そこからなんだか
いろいろあちこちそちこち
あって、時間が経って


 例えば、まずはMTRの音が聴きたいなっていって
新宿の小さなスタジオで 駆け出しの
エンジニアを呼び出してMIXさせたりとか
 うまくいかなかったけどね
 で、そのうち録り直しの話が進んで
俺らの選んだプロデューサー、として
冨田恵一さんを抜擢
これがまた色々あって(笑)


 録音が六本木のタイ・スタジオと
忘れたけど三田かどっかの東京で歌録りして
リンドバーグってグループの作ったスタジオでMIX


 この企画が始まった当初から直ぐに
ピント来てなかったんだけど
出来上がったら絶望するほどダサくて(笑)
もう俺のキャリアは無いなって思ったね
実際今もないけどね


 ちょうど床屋にロン毛で入って
終わったら角刈りにされてた
くらいのギャップ!!
 もう、こんなもんかって
終わっちゃったしって
あきらめてたんだけど
 面白いもので
また違う流れになってさぁ


 ディレクターの八木さんが
俺たちと同じように考えてたらしく 
 つまりは失敗だったと(笑)
九州男児だし納得できなかったんだろうねぇ
俺たちに悪いって気持ちも
あっただろうし


 これは無いね(笑)


 って話になってさぁ でもカネも使っちゃったし
どうしようかって?
で、いよいよもう一度 
MTRにオリジナルのカセット詰めて
Burnish Stoneの植松さんのところに
持っていったんだよね


 回想しますと
 スタジオに入ったら O2Rが2台並んでて
デジタルの段取りがついてて
ただ、脇を見たら FARCHILDが置いてあった…
FARCHILDって伝説のアウトボードが
あるんですよ、ジミ・ヘンやなんかの
レコードで使われてるっていうね


 「これフェアチャですか?」
って植松さんに聞いたら
あぁ、俺はその時初めて見たからね
「670じゃないけどほとんと一緒だよ」って
確か言ったんじゃないかなぁ
 その時、俺がそこに食いついたんで植松さんも
何かを感じたんじゃぁないかなぁ?


 植松さんが大阪で買ってきたばかりの
アップル・レーベルの「グレープ・フルーツ」の
CDを聴いてたのもピンときたしね
「えっ? グレープ・フルーツ知ってんの?」って
話にもなって
「知ってますよー」ってねぇ
要は60’sフリーク同士で
息があった!


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 で、MTRを出して カセットを再生してさぁ
これを、どうにかなりませんか、、ねぇ? っていったら


 「面白いんじゃない? カセット・マスターって
  一回やってみたかんたんだよねー」
みたいな話に始まって 


 ところがこのTASCAM488 ここに入ってる8TR分の音を
HDDにそっくり移し込みたかったんだけども
同時出力が6チャンネルしかない!
マスターテープも元々が8TRしかないもんだから
すでにいくつかのトラックが
オーバーダビング済みになってて
 例えば、ドラムとベースとリズムギター
2TRに収まってたし とか…
完全にはパラアウトはできない
まぁ仕方がないけどね
 というわけで、ひとまずは、この6トラックで
Telefunkenのプリアンプを通して
HDDに録音することになった


 その後は プロツールの作業で
「何かやりたいことある?」って
きいてもらえたんで
ブレイクの前に逆再生をキメたいのと
間奏にフランジャー掛けられませんか?
ってお願いした 
 植松さんって人が流石に
グレープ・フルーツ聴いてるくらいだから
60年代の音に詳しくて 話せばすぐに通じるし
ニュアンスがすぐわかるから
「ハイハイ任せなよ」って感じで
逆再生も作ってくれて
フランジャーもPRO TOOLとSTUDERの6mmを使って
本物のテープフランジャーを作ってくれた。
テープのいいところにマジックで
印をつけてさぁなんどか
イイ感じになるまでトライして
「これでどう?」
ってこの感じになった


 って、何しろ手際がいいっていうか 魔法のように
あっという間にやっちゃうんだよね
本物のテープ・フランジングも初めて聴いたし
ものすごく気持ちがいい
 それでも植松さんは


 「これ、練習してるんだけど
  誰も、なかなか使わせてくれないいんだよぅ」


って言ってたね(笑)


 まあ、60年代じゃああるまいし
誰も喜ばないんだろうねぇ
俺は喜んだけどね


 で、MIXをスチューダーに録音して
後日、目黒のASTマスタリングの
小池さんのところに持って行ったのかな
小池さんは職人っていうか
慣れたもんで、いったら既に
いくつかのセッティングで
音ができてて、どれがいい?
って聞かれたから、ベテランの耳に
任せますってお願いしてさぁ


 と、まぁ、なんとかプレスが終わって
兎に角、ディレクターの八木さんの尽力の甲斐もあって
タワーレコードやらなんやら
沖縄でも京都でも全国でCDが置いて貰えて
なんだかんだで2000枚くらい売れたとか
売れ残ったとかって話


 すぐ後に、
アルファ・レコードはクローズとなって
俺らの契約もそれまでとなったんだけどね


 結局20年経ってまだバンドをやってんだけど
録音と曲作りが好きなのは相変わらずだし
なんだかんだ言ったところで
自分のサウンドは自分でケリを着けないと
どうにもならないのかなって
今でも、思ってるんだよね


 自分で卓を弄ってるとわかるけど
ちょっとしたニュアンスで
全く違うものになっちゃうからねぇ
”なんとなくの100曲”の作品もいいけど
本気の”20曲”を残して死にたいね
なんて話をしてるんだけど、みんなは
どうだろう


 今はyoutubeもあるし 置いとけばそのうち誰かが
気に入ってくれるんじゃないかなぁとも思ってる
聞いて!聞いて!っていうのも
なんか違う気もするしね(笑)
 まぁそんな感じかねー?


 それと CDのジャケットとデザインをしてくれた
ウェハースのお二人と
ビデオを作ってくれた宮崎淳さん
この人達には、感謝を忘れてないよねぇ


 八木さん、たまには連絡ください!
毛が薄くなってたって俺は笑わないよー

 

 
『OUTLIFE / THE COUNTER POP』


www.youtube.com




               かし子



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