the counter pop’s blog

ロックバンド ザ・カウンター・ポップのブログです!

56. 「蒲田青春狂騒曲 其の6」



jul.23 pm8:58

 次はトレンド地獄耳のコーナー!!
・・・大田区は蒲田周辺を中心に
コンタクトレンズが大流行!!


「何コレ? コンタクトレンズって流行るの?」
それも視力矯正の度付きのモノではなく・・・
「あぁ カラコン カラーコンタクトでしょ?
もうだいぶ前に流行ったよねぇ?」
・・・でもなく
「違うのかよ!!」
若者を中心に自分の瞳にあった 
つまり自分の瞳孔を
コピーしたものをオーダーしてゆく・・・
「・・・って言うんですねぇ・・・
 ・・・一体何に使うんでしょう??
 友達と交換するとか? しないかぁ・・・
 わかった!! 彼氏とか? なんかあるじゃん
 指輪とか身に付けてるものを交換して
  『離れていても一緒だよ♥ なんて』
 そんな感じ
 ・・・違う? ・・・良く分かってないの?
 取材して来いよ!! 先に・・・
 まぁ トレンド地獄耳だからね
 良く分かってなくてもいいか・・・ まぁ
 間違いなく流行ってるってことで
 ・・・でした!!」


Theme Song 「青春の挫折」 / The counter pop
 http://www.mucom.net/thecounterpop/sound2/seisyunnozasetu.ram
           ※再生にはすべてreal player が必要です


 タカシが眠そうに髪を掻きむしっている
明け方に検問なんかしてないよ
お巡りだって眠いんだぜ
なんて言っているが 
隣で俺は気が気でない
 右折待ちの車列のウィンカーが
シンクロして見える・・・
朝靄の中で滲んだ黄色い点滅が
カチッカチッと音をたててウィンカーから
少しずつ少しずつ離れて行く
 俺は眠りと覚醒の境界線で
サトミの事を思い出していた


 タカシが2階から降りてきた後
トイレから戻ってきたサトミは
別人のように変身していた
変身と言ってもセクシーな服に
着替えたとかそういうんじゃぁなくて
何かひどく積極的で大胆になっていた
隣りにタカシがいるっていうのに・・・
タカシも気にしないって風を
装ってはいたが・・・


「ヒューゥ お2人さん 熱いね」


タカシの言葉を後に
結局俺達は帰るまでの4時間
トモミん家のゲストルームに籠もった




 サトミは上になって
熱く荒い息をあげている
毛穴という毛穴から
アドレナリンが吹き出し
サトミの汗が腰を伝わり
落ちてくるのがわかる
俺はひどく興奮していたが
意識の奥でどこか
夢中になれないでいた


 それは突然変身したサトミと
おぼろげながら掴みかけていた
彼女の女の子らしい印象とに
どこかで違和感を
覚えたからかもしれない
 性的な興奮の中で
見失っていた事があった
俺は肉体的な繋がりだけが欲しくて
彼女と関係したのではなかったという事だ
つまり俺が欲しかったのは
変身した彼女ではなく
"素"の17歳の女の子
"彼女自身"だった
それは大胆に変身した
"女"の彼女ではなく
どこかにあどけなさの残る
俺のイメージするもう少し
幼い彼女だった


 興奮の果てでサトミの指先が
口元に伸びてくるのがわかった
 俺はカラオケの夜を思い出した
音を立てて大きく揺れるカビ臭いベッドの中で
彼女が何か俺の口へ運ぼうとする
でもそれはなかなか
俺の口元まで届かない
俺はリズミカルに揺れる
彼女の指先へと唇を運んだ


あの錠剤・・・   アウトライフ


コンタクトレンズ・・・
光る瞳孔・・・
アウトライフ


・・・そうか そういう事か・・・ 
汗と体液の混じり合った混沌の中で
サトミはついに大きくのけ反り
太股できつく俺を締め上げる
しかし俺の頭の中に充満したアドレナリンは
爆発しおさまってゆくばかりか
荒い息とともに ますます激しく
広がってくる 
俺はまるで俺じゃない
誰かみたいに全身の毛穴から
エネルギーが吹き出してくるのを
感じていた


 俺の上で揺れ続けるサトミの
汗ばんだ頬に 
小さなセロファンの欠片のようなモノが
張り付いている
それは彼女の瞳孔をコピーした
片方のコンタクトレンズだった


俺は腰の動きを止めた




                   
                    つづく



ゆうこりんアンナことに・・・

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BY ROCKER’S DELIGHT 7月号より
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