52. 「蒲田青春狂騒曲 其の２」
妙に年喰った ガキの頃の親友の顔
押さえても 押さえても どくどく どくどくと
生暖かい動物の感触
怒りにも似た焦燥感
どこかで携帯が鳴っている
湿ったカビの臭い
「ＫＥＮＺＩＥ? どこ?
俺いま 始発待ってんだ」
「何処行っちゃったんだよ 昨日・・・
サトミちゃんも一緒?」
「・・・」
「なっ なんだよぉぉ
俺今度はマジだったんだぜぇ」
「そりゃぁ ねぇじゃんかよ」
昨晩は３時間ぶっ続けで最高だったよって
言おうかとして止めた
口の中に夜中に吐いた
テキーラとサトミの体液の味がした
「あっ ゴメン 起こした?」
「タカシ」
通話口を押さえてサトミに合図する
化粧をとるとやっぱり
まだ１７なんだよなぁって思って
少し後悔した
「タカシ 兎に角
また後で電話する じゃあな」
背中の芯が暖かく
なんだか綿にくるまれているみたいで
昨日のジョイントのせいかと思った
ジョイント?
きめてないぜ!!
覚えてないほど飲んだのか?
「ねえ 瞳孔が光ってる・・・ 右が赤で 左は緑が残ってる」
「おもしろい まだゆっくりと回ってるよ」
「初めてだったの? アウトライフ・・・」
アウトライフ? カラオケボックスのトイレで
トモミがピルケースから取り出した
錠剤を思い出した・・・
「トモミに貰ったんだけどって言ってたじゃん」
ホテルを出たのは ちょうど
通勤時間帯で
忙しく歩く大人達の流れに逆らって
駅まで歩いた
「ケンジ また電話くれる?」
人ごみに消えるサトミが振り返って
何かを言っているように見えた
慌てて口元をとらえようとしたけど
サトミの姿はもうそこにはなかった
まるでDVDの再生不良みたいに
やべぇ 遅刻した
所長の顔が浮かんだ
Theme Song 「青春の挫折」 / The counter pop
http://www.mucom.net/thecounterpop/sound2/seisyunnozasetu.ram
※試聴はすべてreal player が必要です
（おわり）
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ＢＹ ＲＯＣＫＥＲ’Ｓ ＤＥＬＩＧＨＴ ６月号より
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◆◇◆ Ｇｒｏｕｐ’ｓ Ｃｈｏｉｃｅ（ｖｏｌ．４８） ◆◇◆
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◆ｔｏ ｏｌｄｅｒ,
Ｔｈｅ Ｄｅａｄ ６０Ｓ（ザ・デッド・シクスティーズ） / Ｔｈｅ Ｄｅａｄ ６０ｓ
◆ｔｏ ｙｏｕｎｇｅｒ,
Ｈｏｌｄｅｒｌｉｎ（ヘルダーリン） / Ｈｏｌｄｅｒｌｉｎ'ｓ Ｔｒａｕｍ
◆ｆｏｒ ｙｏｕｒ ｃａｒｓｔｅｒｅｏ,
Ｔｈｅ Ｏ'ＪＡＹＳ（ザ・オージィズ） / Ｂａｃｋ Ｏｎ Ｔｏｐ
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（おしまい）
